「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」などの高齢者を狙った犯罪が増えているなか、これまでの詐欺より危険度が増した「アポ電強盗」に注意が必要になっている。
「アポ電」強盗とはいったい何か。対策法や対策グッズを貸し出している自治体情報、警視庁から公開されている「アポ電」地域などの情報をまとめました。
「アポ電」強盗とは?
「アポ電」強盗とは、オレオレ詐欺や振り込め詐欺などの高齢者を狙った特殊詐欺のように、まずは自宅の固定電話に息子や役所の人物を装って電話をかけてきます。
しかし、振り込め詐欺などのように、振り込ませてお金を取るだけでなく、電話での会話の中から資産状況や同居の有無、住所などを特定して家に強盗に入るのです!しかも、被害者が死亡した状態で発見されたケースもあり、これまでの振り込め詐欺より凶悪化しているのです。
「アポ電」の手口
「アポ電」と呼ばれるように、初めに電話でアポイントメントを行ないます。
オレオレ詐欺のように、息子や孫を装い電話番号が変わったことを伝え、ターゲットとなる高齢者の、同居の有無や資産状況などを普通の会話の中で探ってきます。役所、警察、国税庁、銀行員を装う場合もあります。
その後、住所が特定できて、家にお金を置いているようであれば、強盗に入るという手口のようです。
警視庁のホームページで具体例が見られます。
だまされないで(特殊詐欺に注意)【警視庁HP】
警視庁犯罪抑止対策本部の公式ツイッターアカウントでは、「アポ電」がかかっている地域と手口を公開しています。
「アポ電」を使ったこれまでの事件
「アポ電」が使われた強盗事件が2019年から数件あります。
日時 | 2019年1月11日 |
場所 | 渋谷区初台の住宅 |
被害 | 90代と80代の夫婦が手足を縛られ2000万円を奪われた |
手口 | 事件の2日前に息子を名乗る人物から「病気になってお金が必要」と連絡があり家にある現金の額を聞き出された。息子に確認して振り込め詐欺をいったんは防げたが、その後、3人組に押し入られ、強盗被害にあった。 |
日時 | 2019年2月1日 |
場所 | 渋谷区笹塚の住宅 |
被害 | 80代と70代の夫婦が手足を縛られたり口をふさがれたりして約400万円を奪われた |
手口 | 事前に歯科医の息子を名乗る人物から「患者の治療に失敗し、お金が必要。家に現金があるか」と連絡があった。 警察を名乗る男が「家の前に猫の死がいがある。確認して」と訪ねてきて、玄関を開けたら強盗だった。 |
日時 | 2019年2月28日 |
場所 | 東京都江東区のマンション |
被害 | ひとり暮らしの80歳女性が両手足を縛られ死亡した状態で見つかる 被害額は判明していないが、押入れの金庫は開けられた形跡がなかった |
手口 | 2月中旬ごろ、「現金がいくらあるか」と不審な電話がかかったことを知人に相談していた。 |
3件とも東京都内、3人組の犯行又は、3人組が出入りするところが目撃されている。3人とも黒い服にマスク姿。両手を縛るなど手口が共通していることから、同一グループの犯行の疑いがある。
追記
一連の強盗に関わったとみられる男3人が3月13日に逮捕されました。
これで、アポ電”強盗”の心配はなくなるかもしれませんね。できれば「アポ電」詐欺もなくなってほしいものです。
再追記
「アポ電強盗」はこれから拡大していくのか。
3人組が逮捕されましたが、まだ「アポ電強盗」は続いています。
日時 | 2019年3月16日 |
場所 | 静岡県小山町の住宅 |
被害 | ひとり暮らしの74歳女性が就寝中、布団の上から顔を押さえつけられ 金庫にあった100万円を奪われた |
手口 | 前日に息子を名乗る男から「100万必要になった」と電話があり金庫に100万を準備していた |
「アポ電」強盗を撃退する対策方法
- 電話にでない
- ナンバーディスプレイ機能(かかってきた相手の番号が表示される)を活用する
- 家族、親戚、知人の番号は登録しておく
- 留守電機能を活用する
- 家族・知人間で合言葉を決める
- 自動通話録音機を設置する
電話対応時の対策
- お金の話しをしない(お金がない場合でも見栄をはりお金があるようにしない)
- 個人情報(住所など)の話しをしない
訪問時の対策
- 常にドアの施錠を心がける
- 安易にドアを開けない
- モニター機能付きインターホンをつける
対策方法として、電話にでないことが一番になります。
家族や知人からの電話番号などは登録して名前が確認できるようにしたり、留守番電話機能があれば、メッセージを残してもらうなど、また、合図や合言葉などを決めておくと、いざというときに役立ちます。
不審な電話だと思っていても、その瞬間、上手く対応できない場合もあります。手口の中には、息子が問題を抱えているケースだったりするので、気が動転してしまうからです。
不審な電話に気が付かず、自分が狙われていると気づいていない場合もありますが、モニター付きインターホンがあれば、 安易にドアを開けるのを防ぐことができます。
警察であると装い玄関を開けさせる場合もあるため、モニターで判断しましょう。現在判明している犯人グループの格好は、黒い服にマスク姿です。賃貸アパートなどでモニター付きインターホンに変更できない方は、ドアについているのぞき穴から確認しましょう。判断できない場合は、ドアチェーンをかけた状態で玄関を開けましょう。
「自動通話録音機」を設置する
「自動通話録音機」は、 電話着信時に「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため、会話内容が自動的に録音されます。」と発信者側にアナウンスされます。
振り込め詐欺犯だった場合には、証拠が残ってしまうことを嫌がるため、通話を諦める可能性が高くなります。(ただし、手口はどんどん巧妙化していくので、その都度、最新の情報や対策を得ておきましょう)
「自動通話録音機」の無償貸出し
市区町村によっては無償でこの「自動通話録音機」を貸出しています。
(東京都内全域では在庫があれば貸し出しています。ストーカー被害でお困りの方にも貸出しをしているとのこと)
貸出しの条件が65歳以上や70歳以上であったり、貸出し台数が各自治体で異なります。
申し込み方法などの問合せは市役所へ「”自動通話録音機の無料貸し出しはしていますか?”」とお問合せください。
貸出しには申請書の記載や、身分証の提示などが必要な場合があります。
購入することもできますが、1万円前後するため年金暮らしの高齢者にはかなり負担になります。
ただし、お金を持ってる方であれば、この金額で未然に犯罪を防げるのであれば安いのかもしれませんね。
「アポ電」と思われる電話にでてしまったら?
留守電や登録機能のない電話機だったり、「アポ電」と思われる不審な電話を受けたら、以下のことに注意しましょう。
・お金の話はしない。
・氏名や住所、こちらの個人情報などは話さない
・少しでも不審に思ったら、警察に連絡又は、家族は知人に相談する。
・向こうから勝手にかかってきた電話は疑いましょう(特に親切な電話など)
警視庁公開「アポ電」地域を確認しよう
警視庁犯罪抑止対策本部のツイッター公式アカウントでは、「アポ電」がかかっている地域や手口を公開しています。
ターゲットとなる高齢者だと、ツイッターを利用している方は少ないので、両親や祖父母に教えてあげましょう。
まとめ
「アポ電」や「アポ電」強盗が発生している地域は、いまのところ東京都ですが、大阪でも同様の「アポ電」が発生しています。
振り込め詐欺などの特殊詐欺の新たな手口であることから、他の地域でもこれから増えていく事が心配されます。
まずは「アポ電」強盗という危険な犯罪があることを情報として耳に入れ、対策などを家族や親戚で共有するようにして注意をしていきましょう。
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